私はそう思わなかったのです。たしかにその治療の戦略を立てた医師は見事だと思います。しかし根本を伝えていない。移植後の拒絶反応を抑えるための免疫抑制剤の内服、感染予防、拒絶反応を確認するために年に一度心筋生検をしないといけない女の子のつらさ、もろもろの管理にかかる莫大なお金・・・これらをすべて伝えていません。こういう番組を見た難病に苦しんでいる患者さんはいいところばかり見て自分も同じような治療を受けたいといってきます。気持ちはよくわかります。しかし現実に今言ったようなことを説明するとおそらく愕然とすると思います。伝えるということは患者が知るべきことを伝えることであり、甘いことのみをいうことではないと思います。メディアにも同じことが言えると思います。放送だけして不祥事が起きた時に後始末をしないのは困ります。情報発信者はその使命と責任感を持たないといけないと思う今日この頃でした。

ゆかわクリニック